• 食用油脂の酸化に関する課題

    食用油脂は酸化することが知られていますが、その反応は非常に複雑であるため、
    反応やその制御方法に関する理解は十分ではありません。

    酸化を完全に制御できていないことが原因で、油脂を利用した食品の品質が低下し、
    油脂が本来持っている機能を生かしきれないまま廃棄されることがあります。

    近年、世界人口の増加による油脂資源の枯渇化やフードロスが社内問題となる中、
    貴重な油脂をより有益に利用できる方法の開発は、今後の社会において非常に重要な課題です。

    一方で、油脂の好ましい風味も酸化によるものであるため、単に酸化を抑えることではなく、
    酸化を制御し、油脂の価値を高めることが重要だと考えています。

  • 課題に対するアプローチ・活動

    私たちJ -オイルミルズ 油脂イノベーション共同研究講座は、食用油脂の酸化に関する
    研究を通じて、これまで見出されていなかった油脂の活用手法や新しい技術を開発し、
    上記の課題の解決を目指しています。

    油脂は酸化されることで、過酸化脂質や酸化二次生成物といった化合物が生じます(図1)。
    本講座では、これら過酸化脂質や酸化二次生成物を対象とした新たな分析技術を確立することで、
    油脂の様々な酸化反応を正確に理解することを目指しています。
    さらに、酸化に関する研究を進めることで、制御すべきキーポイントを明らかにし、
    油脂の新たな応用の可能性を探索することを目指しています(図2)。

    また、担当教員の基幹講座所属の学生への指導に加えて、学会やセミナー等を通じて、
    研究成果を発信してまいります。