附属複合生態フィールド教育研究センター

センター長挨拶

フィールドセンター長 挨拶

センター長 小倉 振一郎

センター長 小倉 振一郎

  これまでの食料生産は、生産性を重視し、個々の生態系の中でその生産効率を高めることを求めて行われてきました。過度の開発、化学物質の導入、機械化が優先された結果、1つの生態系が他の生態系に大きな負荷を与え、そのことが地域および地球規模の環境の劣化の一因となっています。一方、人口は増え続け、世界的な食料危機を引き起こすことが予想されています。個々の生態系での今後の食料生産にさらなる効率性の向上が必要ではありますが、これからは、持続的かつ環境保全的な食料生産システムを構築していくことが急務です。そのためには、隣接する生態系やそれらを結ぶ流域、空域、人間生活域を含む高次の複合生態フィールドにおいて、環境に調和する生物生産システムを構築することが重要です。   農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター(以下、フィールドセンター)は、こうした複合生態的視点から環境と調和した持続的な農林水産物の生産に関する教育と研究をフィールドに基づいて行うため、平成15年4月に設置されました。本センターは、大崎市鳴子温泉に位置する複合陸域生産システム部(旧・附属農場、川渡フィールドセンター)と、三陸海岸の女川町に位置する複合水域生産システム部(旧・海洋生物資源教育研究センター、女川フィールドセンター)、ならびに仙台市の青葉山キャンパスに位置する複合生態フィールド制御部、の3つの拠点から構成されています。   川渡フィールドセンター(4研究分野)は、約2,200 ha(千代田区の約2倍)という広大なフィールドに森林域から中山間域にかけて林地-草地-耕地がバランス良く配置され、大学附属農場としては全国一の規模を誇っています。女川フィールドセンター(1研究分野)は、寒流と暖流が理合する世界三大漁場の一つである三陸沿岸に位置し、持続的な水産業に向けた教育研究を展開しています。さらに、仙台に位置する複合生態フィールド制御部(1研究分野)では、これら山から海に至る多様な農林水産業に関わる生態系を、リモートセンシング技術等による高次元・俯瞰的な視点かつ社会経済学的な視点から教育研究を行っています。   フィールドセンターのこれら3拠点を結ぶ領域は、農学研究科の延長にあるフィールド研究の拠点であり、隣接する国公立の試験研究機関との共同研究ネットワークを形成するとともに、農業生態系を異にする海外の学術交流協定校や研究機関との共同研究ネットワークも形成し、より幅広い複合生態フィールドの教育研究を展開しています。