[8/19開催] 第1回植物生命科学セミナー(濱本亨博士)

第1回植物生命科学セミナーを8月19日に開催いたします。第1回目のご講演者は土壌立地学分野・助教の濱本亨博士です。

日時: 2022年8月19日16:00~
会場: 東北大学青葉山新キャンパス 青葉山コモンズ第3講義室
演者: 濱本亨博士(東北大学大学院農学研究科土壌立地学分野・助教)
演題: 「炭素は土壌にどのような影響を与えるのか」 開催案内PDF

農業は、化学肥料などの大量消費型から低投入持続型へとパラダイムシフトが起こっている。炭素量は土壌の健全性を示す一つの指標であり、農業生産持続化の鍵でもある。一般的に、土壌炭素量が高いほどそこに棲む微生物の量や作物生産のポテンシャルは高い。つまり、炭素量が低い土壌を改善させることが、食糧安全保障の抜本的解決につながる。近年では土壌に炭素を蓄積させることで、気候変動に立ち向かう取り組みが国際的な枠組みで進んでいる(例:4 per 1000)。
今回のセミナーでは、いわゆる「貧栄養」な土壌で農業生産をおこなっている地域(サブサハラアフリカ・ザンビア)での研究を中心に、土壌の生物性や農業生産性との関わりを紹介する。主な研究概要は以下の通りである。
サブサハラアフリカでは、11 g C kg−1 soil が農業生産上の限界値レベルと言われている。そこで、この閾値前後にある二つの異なる土壌において、土地利用変化の影響や有機物投入に伴うCO2放出量や微生物(細菌群集)動態の影響を調べた。その結果、炭素量が高いサイトは低いサイトと比較して、土地利用特有の微生物群が見られた。有機物投入試験においては、炭素量が低いサイトでは有機物投入による CO2放出量と微生物量が増加したが、炭素量が高いサイトでは有機物投入の直接的な影響は見られなかった。また、炭素量が低いサイトでは微生物群集構造の時間的変動が極めて大きいことが示された。微生物動態の安定性・冗長性を高めていくことが土壌に炭素を貯めることにつながると考えられる。

濱本亨博士

現地フィールド試験地:手前キャッサバ、奥メイズ

問い合わせ:
東北大学大学院農学研究科植物遺伝育種学分野(山本)
masaya.yamamoto.d3[at]tohoku.ac.jp

この活動は以下のSDGsの達成に資するものです。

  • 1. 貧困をなくそう
  • 2. 飢餓をゼロに
  • 15. 陸の豊かさも守ろう