[12/21開催] 第2回植物生命科学セミナー(亀岡笑博士)

第2回植物生命科学セミナーを12月21日に開催いたします。講演者は酪農学園大学 講師の亀岡笑博士です。

日時: 2022年12月21日(水)16:00~
会場: 東北大学青葉山新キャンパス 青葉山コモンズ第7講義室
演者: 亀岡笑博士(酪農学園大学農食環境学群 栽培学研究室・講師)
演題: 「収量向上を目的としたタマネギ直播栽培法の検討:異なる基肥施肥法が直播タマネギ根系の発育に及ぼす影響」 開催案内PDF

 近年、十勝地方のタマネギの作付面積は増大傾向にある。十勝地方のような新規産地がタマネギを導入するにあたり、育苗の資材や施設を必要としない直播栽培は、初期投資を大幅に削減できることから合理的かつ有効な栽培方法といえる。十勝地方は火山性土壌が広がるが、火山性土壌では施肥したリン酸が速やかに非結晶体のアルミニウムに固定されてしまうことからリン酸の吸収が農業上の制約になる。そのため、火山性土壌においてもリン酸の肥料効率を高めることを期待できる局所施肥技術の開発が進められている。
 十勝地方での効果的なリン酸施用のためには、作物の根の位置と施肥位置を一致させ、根と肥料が接触する確率を高めることが重要である。臼木ら(2016)は黒ボク土圃場におけて種子直下2~4 cmに過リン酸石灰を施用することでタマネギ生育が促進され、球肥大が助長され収量が向上することを報告した。またその後、リン酸直下施肥と第2葉期までの窒素・カリウムの施用の組み合わせが肥大初期の窒素やリン酸吸収を促進し、鱗茎重の増大に寄与することも報告された(臼木ら 2018)。
 以上のことから、窒素とリン酸を一緒に局所施肥することで、リン酸のみを局所施肥した時よりも直播タマネギの生育はより促進されるのではないかと考えた。本研究では、基肥の一部の窒素・リン酸の局所施肥が直播タマネギの生育・収量に及ぼす影響を、根系発達にも着目しながら評価しようとした。今回のセミナーでは北海道農業研究センターとの共同研究成果について紹介する。



現地フィールド試験(北農研羊ヶ丘拠点):2019年6月(上)、2019年8月の層別根系サンプリング(下)

問い合わせ:
東北大学大学院農学研究科作物学分野(本間)
koki.homma.d6[at]tohoku.ac.jp