VOICE: Plant Science [No. 010] 阿部香奈さん(植物病理学分野 博士前期課程2年)

植物生命科学コースの学生・卒業生/修了生・教員の声をお届けするインタビュー記事です。月一回くらいの頻度で更新予定です。→記事一覧はこちら

今回は、植物病理学分野 博士前期課程2年生の阿部香奈さんにお話を伺います。よろしくお願いします。

阿部香奈さん(植物病理学分野 博士前期課程2年)

この研究領域/分野を選んだ理由を教えてください。

 もともと微生物に関連する研究がしたいという思いから農学部に入学しました。微生物については基本的にどのコースでも研究が行われているので、1年生の冬のコース選択の際に迷いましたが、土の中に存在する多種多様な微生物の未知の働きや微生物同士、微生物と植物の相互作用について研究したいと考え、植物病理学分野を選びました。

現在どんなご研究をなさっているか教えてください。

 細菌に感染するウイルスであるバクテリオファージは環境への負荷が少ない生物防除資材としての利用が期待されていますが、日本ではまだほとんどが実用化にはいたっていません。現在はナス科などの植物に感染し甚大な被害を及ぼしている青枯病菌に感染するファージの探索、解析を行っており、単離されたファージをトマトの苗に処理して青枯病の病害抑制効果を調べています。

写真/4年生のときに単離したファージFLC12の電子顕微鏡写真です。イネもみ枯細菌病菌を宿主として、落葉堆肥から単離されました。

研究の息抜きになるような趣味はお持ちですか。

 月に2,3回書道教室に通っていました。休みの日に自宅でも作品作りを行っていたため研究活動との両立が大変な時期もありましたが、教室には社会人の方もたくさん通っているので、お菓子を食べながら雑談することで良い刺激になるとともに、研究の息抜きの時間になっていました。掛軸を作製して祖父の米寿のお祝いにプレゼントしたことが思い出に残っています。

写真/東北書道会の展覧会に掛軸を出品したときの写真です。

将来の夢を教えてください。

 将来は何らかの形で日本の農業の活性化に携わる仕事に就きたいと考えています。日本の農業が抱える高齢化や人手不足などの課題は年々深刻になっています。農業現場での課題を解決する上で、大学で開発された技術の現場での応用、普及を進めることは今後ますます重要になります。大学の研究成果を生かして環境に優しく生産性の高い農業を実現できれば、職業としての農業に興味をもつ若者が増え、新たな担い手としての活躍が期待できると考えています。

ありがとうございました。土の中にいる多数の細菌や糸状菌にはそれぞれに感染するウイルスがおり、それらの相互作用の研究から農業に役立つ知見や資材を得られる可能性があるのですね。ご研究の発展を楽しみにしております。

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