海洋生物科学コース

水圏動物生理学

研究内容

水圏動物の中でも産業価値の高い海産無脊椎動物の生殖機構を、組織・細胞・分子のレベルで解き明かし、これらを高度な増養殖技術の開発に応用することを研究の目標としています。北日本で漁獲量および養殖生産量が多いホタテガイ・マガキなどの二枚貝類や、キタムラサキウニ・エゾバフンウニなどのウニ類を中心に研究を行っています。

 

(1) 二枚貝の生殖工学に関する研究

二枚貝は日本の現存種で約1000種が知られ、水産業に必須の生物種も多く存在する有用生物です。これら二枚貝では雌雄異体種と雌雄同体種が混在し、性の表現型も多様に進化しています。しかしいずれの種においてもその性決定・性分化・性転換の分子機構の全容は解明されておらず、水産増養殖において性統御技術を開発するための基礎生理学的な知見が欠落した状況にあります。そこで本研究室では、二枚貝類の生殖機構に関与する遺伝子機能の解明するため、遺伝子導入やゲノム編集を用いた二枚貝の生殖工学技術の開発に取り組んでいます。

 

(2) ウニの成熟制御に関する研究

ウニの可食部は生殖巣(雌では卵巣、雄では精巣)です。ウニは,卵形成や精子形成に必要な栄養を生殖巣内の栄養細胞にあらかじめ蓄えておき、産卵期が近づくとこの栄養を利用しながら成熟します。栄養細胞に十分な栄養を蓄積して肥大した成熟前の生殖巣が食品として好まれ、成熟が進むと生殖巣から卵や精子が溢れ出す「身溶け」や味の劣化によって品質が損なわれます。養殖を行う場合、成熟を抑制すれば品質低下を回避して出荷期間を延ばすことが可能です。ウニの成熟は光周期(昼夜の明暗周期)の影響を受けることが明らかにされており、光周期を適切に調節しながら飼育すれば、成熟を抑制して長期間にわたって品質を維持できることがわかってきました。現在は、光条件がウニの成熟に及ぼす影響を詳細に調べ、より効率的に成熟を抑制できる条件を見出し、低コストで実用性の高い養殖手法を開発することを目指しています。

分野ホームページ

https://sites.google.com/view/suikenseiri

キーワード

二枚貝、ウニ、生殖、性決定、性分化、配偶子形成、遺伝子導入、ゲノム編集、成熟制御

スタッフ紹介