菌類による倒木分解が森林の更新に影響する可能性を 実験的に確認

【本学研究者情報】
〇大学院農学研究科 准教授 深澤 遊
 研究者ウェブサイト

【発表のポイント】
・倒木上に次世代の樹木の種子が発芽して成長する「倒木更新」は森林の重要な更新様式の一つです。
・ 菌種による倒木成分の分解比率の違いには、リグニンが分解されて白色化する「白色腐朽型」とリグニンが分解されず蓄積する「褐色腐朽型」があります。
・ 白色腐朽した倒木と褐色腐朽した倒木に12樹種の種子を蒔き、発芽・生存・成長が腐朽の影響を受けることを実験的に確かめました。
・ 多様な菌類による多様な倒木分解が倒木更新できる樹種の多様性を高める可能性があります。

【概要】
 次世代の樹木の芽生え(実生)が倒木上に成長して森林が更新していく過程は「倒木更新」と呼ばれ、森林が持続的に維持される上で重要な仕組みの一つです。これまで、野外観察から、菌類による倒木の腐朽における分解成分の違いが、倒木更新に影響する可能性が指摘されていましたが、実験的に検証した例はありませんでした。

 東北大学大学院農学研究科の深澤遊准教授と博士前期課程の北畠寛之さん(研究当時)は、腐朽したアカマツの倒木上に12樹種の種子を蒔き、菌類による腐朽の違いによって種子の発芽、成長、生存が影響を受けることを明らかにしました。
この結果は、森林において倒木の分解を行う菌類が多様なほど多様な樹種の実生の倒木更新が可能であることを示唆しており、森林において生物多様性が維持される仕組みの理解につながります。

 本研究成果は2024年6月4日に学術誌Ecology and Evolutionで公開されました。

詳細(プレスリリース本文)

 

  • 13.気候変動に具体的な対策を
  • 15.陸の豊かさも守ろう