菌糸は電気的シグナルによって行動を制御している!?
【本学研究者情報】
〇大学院農学研究科 准教授 深澤 遊
研究者ウェブサイト
【発表のポイント】
・木材腐朽菌の菌糸は、周囲の状況に応じて柔軟に行動を変えますが、そうした行動がどのように制御されているかはよくわかっていません。
・寒天培地上に伸びる木材腐朽菌の菌糸にエサとして木片を与え、電位の変化を菌糸の複数箇所で測定したところ、木片が設置された場所の菌糸から
菌糸全体へ、電位変化が伝わっていることが確認されました。
・菌類の菌糸は、電気的シグナルを用いて全身の行動を制御している可能性があります。
【概要】
木材腐朽菌は、森林の土壌中に菌糸のネットワークを広げ、倒木や落枝などを分解しながら水分や炭素、養分などの物質を運搬(転流)することで森林の物質循環に重要な役割を果たしていると考えられています。これまで、木材腐朽菌の知的な行動(記憶・学習・決断)が報告されていますが、菌糸が行動をどのように制御しているのかはよくわかっていません。
東北大学大学院農学研究科の深澤遊准教授の研究グループは、ナメコと近縁な木材腐朽菌Pholiota brunnescensの培養菌糸にエサとして木片を与え、木片に菌糸が定着・分解していく過程における電位変化を、菌糸の複数ヶ所で104日にわたって測定しました。その結果、木片が設置された場所の菌糸から菌糸全体へ、電位変化が伝わっていることが確認されました。また、木片の定着が完了したと考えられる培養60日後からは木片の場所でのみ、7日間周期の電位振動が見られました。
この結果は、菌糸が電気的なシグナルで行動を制御していることを示唆しています。
本研究成果は2024年7月6日に科学誌Scientific Reportsで公開されました。
菌糸は電気的シグナルによって行動を制御している!?
— 東北大学大学院農学研究科 (@tu_agr_pr) July 19, 2024
大学院農学研究科深澤遊准教授らの研究成果は2024年7月6日に科学誌Scientific Reportsで公開されました。https://t.co/L1qUVCXo5i pic.twitter.com/nSbOfvSPq6
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