脳や目を持たないのに 菌類は図形を識別しているのかもしれない

【本学研究者情報】
〇大学院農学研究科 准教授 深澤 遊
研究者ウェブサイト

【発表のポイント】
・生物が外部環境をどのように認知しているかは種類ごとに大きく異なると考えられています。しかし、カビ状の菌糸体で生きている菌類の認知能力についてはほとんどわかっていません。
・ 木材を分解して生きている木材腐朽菌のエサである角材9個を異なる図形に配置したところ、菌糸体ネットワークの形が変わるだけでなく、その分解活性も異なることがわかりました。
・「図形の違いによって菌糸体ネットワークの活性が異なる」現象は、「図形の違いによって脳のニューラルネットワークの活性が異なる」現象、すなわち脳における図形認識のプロセスと似た現象といえるかもしれません。

【概要】
 菌類には脳や神経系はありませんが、菌類の菌糸体が様々な知的な行動(記憶・学習・決断)を示すことが報告されています。
 東北大学大学院農学研究科の深澤遊准教授の研究グループは、木材腐朽菌チャカワタケの菌糸体を定着させた角材9個を、培地上にマルやバツを描くように配置して菌糸体を培養しました。菌糸体は角材9個をつなぐように培地上にネットワークを伸ばし、マルやバツの図形を描いただけでなく、図形の違いによって角材の分解活性も異なっていました。
 このように「図形の違いによって菌糸体ネットワークの活性が異なる」現象は、「図形の違いによって脳のニューラルネットワークの活性が異なる」現象、すなわち脳における図形認識のプロセスと似た現象といえるかもしれません。
 本研究成果は2024年9月12日に国際学術誌Fungal Ecologyで公開されました。

 


詳細(プレスリリース本文)

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