本学名誉教授が瑞宝中綬章を受章しました

受賞者 谷口旭先生
受賞日

2023/11/03

賞の名称 瑞宝中綬章

令和5年11月3日に秋の叙勲が発令され、農学研究科からは谷口旭名誉教授が瑞宝中綬章を受章しました。
なお、11
10日に東京プリンスホテルにて叙勲勲章伝達式が執り行われます。

谷口 旭 名誉教授

谷口 旭 名誉教授(生物海洋学
生物海洋学の分野において、以下の4つに大別される先駆的かつ広範な学術的業績をあげ、受章しました。

「海洋基礎生産の研究」
1970年代前半に西部太平洋の様々な海域で基礎生産量を測定し、その地理的変化とそれを規定する要因を明らかにした。 

「微小動物プランクトンの研究」
様々な海域における微小動物プランクトンの現存量とその種類組成を精力的に明らかにするとともに、特に有鐘繊毛虫の分類学的、生理学的研究を発展させ、繊毛虫が栄養塩再生産者として、また微生物環と生食食物連鎖とをつなぐ仲介者として重要な役割を果たしていることを明らかにした。

「沿岸性プランクトンの休眠細胞に関する研究」
休眠細胞が沿岸性プランクトンの生活史において果たす役割に関する研究に着手し、珪藻類、渦鞭毛藻類および繊毛虫類の卓越種はいずれも環境悪化後ではなく、栄養細胞の増殖期間中に休眠細胞を盛んに形成することを明らかにした。休眠細胞の形成期と発芽の時期は優占種間で微妙に異なり、その差異によって栄養細胞群集の出現繁栄期を異にすることができ、よって同一湾に複数の優占種が共存できることを明らかにした。

「プランクトンを利用した修復生態学の研究」
大気中のCO2を削減するために海洋植物プランクトン群集の光合成を賦活する際の鉄源として、大量かつ難処理の廃棄物である製鋼スラグに着目してその有効性と持続性を確認し、また、大型の珪藻プランクトンに対してより有効に働いて魚類生産につながりやすいということも明らかにした。