遺伝子変異の影響は予測可能か? -植物の自家不和合性遺伝子をモデルに解析-

 非同義置換変異のいくつかは遺伝子機能に重大な影響を与えますが、機能に影響しない場合もあります。非同義置換変異が遺伝子機能に及ぼす影響の予測が可能になれば、作物育種に有用な遺伝子の同定が迅速に行えるようになります。
 農学研究科植物遺伝育種学分野 山本雅也准教授、大竹章太郎大学院生(当時)らの研究グループは、遺伝子機能に影響を与える非同義置換変異の特徴を明らかにするため、AlSRKb遺伝子をモデルに研究を行いました。ランダムに変異を導入した変異AlSRKb遺伝子を発現する形質転換シロイヌナズナを約300系統作出し、表現型と変異AlSRKbの遺伝子型を解析したところ、機能発現の異常よりもタンパク質生合成の異常によるAlSRKb遺伝子の機能欠損が多く見られました。また変異によるSRKの機能欠損の有無を機械学習で予測可能か検証したところ、約83%の正答率で予測可能でした。
 本研究成果は2024年10月17日に科学誌New Phytologistに公開されました。

詳細な日本語の解説はこちら: https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/10/press20241018-03-dna.html

【論文情報】
タイトル:Analysis of randomly mutated AlSRKb genes reveals that most loss-of-function mutations cause defects in plasma membrane localization
著者:山本雅也*、大竹章太郎、篠澤章久、城田松之、三井裕樹、北柴大泰
*責任著者:東北大学大学院農学研究科 准教授 山本雅也
掲載誌:New Phytologist
DOI:https://doi.org/10.1111/nph.20111
URL: https://nph.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/nph.20111

形質転換シロイヌナズナ作製の概要図

【問い合わせ先】
山本雅也
東北大学大学院農学研究科植物遺伝育種学分野 准教授
e-mail: masaya.yamamoto.d3*tohoku.ac.jp *を@に変更してください。

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