宮城県東松島市にある橋本道路(株)との共同研究として、有用な微細藻類を研究しています。
微細藻類(びさいそうるい)とは、大きさが0.1mmにも満たない微小な生き物です。
下の写真は池の水を顕微鏡で観察したものです。緑藻や珪藻と呼ばれる種類がたくさん見えます。
種類は10万種を超えるとも言われており、生息する場所は主に淡水や海水の中ですが、
雪の中で育つものや地面の上で育つ種類もあります。
それらの種類、分布、季節変動などはまだ多くが知られておらず、
研究すればするほど新たな発見を得ることができます。
下記ではいくつかの有用微細藻類を紹介しています。
・ボトリオコッカス(淡水性)
高級なオイルを作り出す種類。このオイルには高い保湿効果があり、
ハンドクリームに混ぜられたりしています。
・オーランチオキトリウム(海水・汽水性)
魚の油に多く含まれているDHAという成分を豊富に作り出す種類。
このグループはこれまで種の判定が曖昧にされていましたが、
遺伝子により正確に同定する技術を我々の研究グループが確立しました。
現在、日本沿岸域にどのような種が存在しているのか、そしてこういった有用種が
海洋生態系のなかでどのような役割を果たしているのかを調査しています。
・ヘマトコッカス(淡水性)
アスタキサンチンという赤色の抗酸化成分を作り出す種類。
アスタキサンチンは甲殻類(エビ・カニなど)、軟体類(タコなど)、鮭などの
赤い色素の元になっており、生態系のなかでも重要な成分です。
これらの微細藻類の機能や現場での役割が明らかになれば、
その知見を利用して有用物質の効率的な生産が可能になったり、
水のなかでの生態系の仕組みを理解する一助になると思います。
この研究で得られた成果を利用して、地元での新たな産業の創出を試みたり、
子供たちへの教育の一環になればと願い、研究を続けています。
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