令和3度せんだい次世代農業経営者育成ゼミ

令和3年度せんだい次世代農業経営者育成ゼミ開講式を実施しました。

 せんだい次世代ゼミ最後年度の今年は、「講義+ディスカッション」「受講生同士で協力して実践するマルシェ」を通じて、次世代を担うリーダーの養成を目指すカリキュラムを設定しました。そして今回は、コロナ感染対策として、対面+リモート受講のハイブリッド式を取り入れ、無事に開講式を迎えることができました。 開講式の最初に、主催者である仙台市経済局農林部農業振興課の鈴木中課長と本ゼミの塾長を務める東北大学大学院農学研究科の伊藤教授から挨拶が行われました。受講生に今年度の学習目標を提示し、環境が変化する中、改めて経営理念の再検討と経営知識の学び直しを勧めました。 初めに、JA仙台の元組合長である高野秀策様より、「農協運動における歩みと震災復興におけるリーダーシップ」を題としてご基調講演をいただきました。高野様は5人兄弟の農家の長男として生まれ、農業に従事したのち、昭和59年に仙台市農協理事に就任しました。本講演では、高野様がご自身の経歴と農協運動の歩みを紹介して、当時の農業環境の変貌とそれに応じた挑戦策を振り返りました。そして、東日本大震災からの復旧・復興に着目し、震災後2年の間にJA仙台の取組みと成果を紹介して頂きました。JA仙台の一大事として広域合併後の動きを紹介し、合併の効果と影響を分かりやすくまとめて頂きました。また、JA仙台の地域貢献活動と人材育成の取組みも紹介して、ご自身が考えているJA役員としての使命は何かを教えて頂きました。最後は、JA職員及び次世代農業の担い手となる本ゼミの受講生に期待の言葉を述べ、講演を終えました。 次は、有限会社竹鶏ファーム代表取締役の志村竜生様からの基調講演が行われました。蔵王連峰の麓に位置する竹鶏ファームは「日本で一番、ありがとうの“わ”が生まれれる養鶏場を目指して」をスローガンに地域密着の独自路線で成長している鶏卵会社で、志村代表には、本ゼミ番外編の際にも講演して頂きました。今回では、コロナ禍における経営と地域との連携を題に講演して頂きました。竹鶏ファームのビジネスモデルを紹介して、特にリブランディングに注力した経営戦略を詳しく教えて頂きました。また、去年に行った事業承継、ITツールの導入や、コロナ対策で生まれた「出前たまご」などの新たな取り組みにおける経験教訓を受講生に共有して頂きました。そして、地域との連携については、「地域の定義とは?」「なにをもたらせるか?」「ゴールはなんだ?」など鋭い質問を投げ、ご自身の考えを教えて頂きました。最後は、某専門家を紹介するドキュメンタリー番組風に講演を綺麗に締めました。
 


9月14日に第2回講義を実施しました。

 令和3年9月14日(火)に第2回目となる講義を実施しました。 
 今年度初の試みとなる「リーダー養成講座・マルシェ特別講座」の一回目が始まりました。㈱YACコンサルティングの古髙伸一常務取締役を講師にお迎えし、まず、「農村地域におけるリーダーの役割」を題に講義して頂きました。ワークショップの講義形式で、最初に、受講生に「リーダーには、どのようなことを期待されていると思いますか?」「自分自身が、今後果たすべき農業者としてのリーダーの役割は何か?」について自分の考えを述べ、他メンバーの意見に合わせてまとめてもらいました。そして、みんながまとめた結果を踏まえて、リーダーシップとは何かを問いかけ、リーダーシップの真髄は「影響力」であることを教えて頂きました。そして、リーダーシップの4類型を紹介して頂き、受講生に自分自身のリーダーシップはどの類型に当てはまるかを考えてもらい、リーダーシップが多様に変化してきたことから、自分の特性に合ったリーダーシップの形成を勧めました。 
 2時限目はマルシェ実施企画策定の一回目となります。本企画は受講生に主体性をもって取り組む企画で、合計3回のマルシェを実施する予定です。今回では、マルシェ実施の「趣旨」と「獲得成果」の確認、及び役割分担と次回までの宿題の整理が行われました。受講生の中には、マルシェ初心者もいれば、経験者もいて、多彩多様な意見が交わされました。戸惑いもありながら、熱意のある話し合いが進み、次回にはブラッシュアップしたテーマを期待できます。


10月18日に第3回講義を実施しました。

 令和3年10月18日(月)に第3回目となる講義を実施しました。 
 学びあい講座2回目は、楽・食・健・美-KUROMORI-の黒森洋司オーナーシェフを講師にお迎えし、「宮城の食を共に盛り上げる仲間とは」を題に講義して頂きました。楽・食・健・美-KUROMORI-は宮城の食材を中心に使い、地産地消を貫く中華の名店で、「KUROMORIのために、仙台に行く」と言われるほど注目を集めております。そんな名店を作り上げた黒森オーナーシェフは講義を通して将来宮城の食を盛り上げる仲間となる受講生への思いを語って頂きました。最初に、ご自身の経歴紹介と共に、なぜ宮城の食材にこだわるのかを教えて頂きました。そして、今まで宮城の食材を求めてきた道のりを受講生に共有しながら、料理人の一番の仕事は良い生産者と出会うことを教えて頂きました。また、料理人の目線から、いま生産者に求められているものは何かを述べ、受講生に質の重視、付加価値づくりや宣伝手段の活用などと助言をくださった。最後は、受講生との交流時間を利用して、いま付き合いのある受講生の率直な感想を聞き、これからの付き合いを期待する受講生に励ましの言葉をくださり、あっという間に講義を終えました。
 2時限目は、黒森オーナーシェフの講義をふまえて意見交換の時間として設けました。意見交換はKJ法を取り入れたワークショップ形式で行われました。事務局が提示した二つのお題-「①黒森さんがお客様に提供している価値は何か?」「②お客様に価値を提供し続け、お客様から利用し続けてもらうために何が必要か?」-に対して、受講生が2グループに分かれて議論を行い、内容を一枚の模造紙にまとめて発表して頂きました。その後、受講生に相手グループの発表に対して、賛同する点や新たな気づきとなるキーワードなどを挙げてもらい、感想を述べて頂きました。


10月26日に第4回講義を実施しました。

 令和3年10月26日(火)に第4回目となる講義を実施しました。 
 1時限目は「リーダー養成講座」の2回目として、古高伸一常務取締役から「リーダーコミュニケーショ」に関する講義が行われました。まず、リーダーに求められる3方向(上、横、下)のコミュニケーション能力について、一般企業と農業者の場合に分けて、場面の例を挙げながらコミュニケーション力とは何かを教えて頂きました。そして、ビジネス場面でのコミュニケーション力を「話す力」「聴く力」「交渉力」の3つの面から説明して頂き、「結論から先に話すこと」「聴き上手になること」「非言語を意識すること」を受講生に教えて頂きました。同時に、ワークショップ形式で受講生に「身につけたいコミュニケーション力」、「報告の失敗談」「自分の非言語コミュニケーション」について議論してもらい、コミュニケーション力についての理解を深めて頂きました。最後は、実践ケーススタディを紹介して講義を終えました。
 2時限目はマルシェ実施企画策定講義の2回目でした。マルシェ実施企画に関しては本講義の前でも受講生の要望に応じてSlack、ZOOMなどのツールを活用しながら議論を行なってきたため、今回はその進捗状況についての確認と、企画書・案、実施内容についての検討が行われました。古高伸一常務取締役の司会のもとで、受講生同士の議論がおおよそ1時間半に続き、企画書原案の作成計画、3回ごとの実施内容についての詳細がほぼ決まりました。


11月17日に第5回講義を実施しました。

 令和3年11月17日(水)に第5回目となる講義を実施しました。 
 今回の講義は、「リーダー養成講座」の3回目として、「マルシェ開催に向けての検討協議・決定および今後やるべきことの整理」が行われました。11月15日のWebミーティングの続きとして、「受講生の役割分担」「悪天候時の対応」「マルシェ実施内容の確認」「経費使用目途」および「1回目の実行詳細」などの項目についての検討が行われました。引き続きSlack、ZOOMなどのツールを活用して受講生同士に議論して頂きながら、そろそろ1回目の実戦を迎える頃です。


11月30日に第6回義を実施しました。

 令和3年11月30日(火)に第6回目となる講義を実施しました。
 学びあい講座3回目は、せんだい食農交流ネットワークの斉藤緑里代表を講師にお迎えし、「応援したくなるマルシェとは~なぜ私が生産者とのつながりを大切にしたいと思っているのか~」を題に講義して頂きました。 
 1時限目は、せんだい食農交流ネットワークの設立経緯、主な活動‐「フォーラム食の寺子屋」「生産者訪問イベント」「収穫祭」「食と農をむすぶランチ&コンサート」、及びご自身が主催する料ました。理教室「Vege-Fru Lesson」の取組みを紹介して頂きました。そして、様々な活動を通じて、ご自身が実感した「値段だけではない価値判断基準」を伝えることの大切さを教えて頂きました。来月にマルシェの開催を控えている受講生に、リアルの感覚を持って、多様なる農産物の価値を伝えていくべきと助言してくださいました。また、ご自身が野菜ソムリエとして、今後も受講生とのつながりをもって、生産者と生活者の架け橋としての役割を果たしていくことを表明して頂きました。最後は、受講生との質疑応答を経て、講義を終えました。
 2時限目は斉藤代表の講義をふまえて意見交換の時間として設けました。講義内容をふまえてワークショップのお題は「どんな相手(生活者)に対してどんな価値を伝えていきたいか?-値段以外の価値を伝えてほしい」に設定しました。前回同様に、KJ法を取り入れた形式で行われて、受講生に各自考え出したキーワードを一枚の模造紙にまとめて頂きました。受講生から伝えていきたい「相手」「価値」について様々なワードが出てきて、議論は活発に行われました。そして斉藤代表も受講生の発言に耳を傾けて、「伝えたい相手、価値の幅広さ」についてのアドバイスをくださいました。


12月14日に第7回講義を実施しました。

 令和4年12月14日(火)に第7回目となる講義を実施しました。
 学びあい講座4回目は、塾長の伊藤房雄教授を講師に迎え、「事例から顧客獲得の仕組みを考える」を題に講義して頂きました。講義では、伊藤塾長が受講生にビジネスモデルとして参考になる先進事例を紹介しながら、経営拡大につながるヒントを与えて下さいました。主に紹介して頂いた事例は「伊賀の里モクモクファーム」「ゆずの村馬路村」「おおむら夢ファームシュシュ」「瀬戸内ジャムズガーデン」でした。各事例のホームページや宣伝資料を用いて、各社ビジネス展開の経緯、経営者の特徴や事業の転換点を説明して頂きました。そして、特に各社が「里山」や「離島」などの地域、資源劣位を優位に切り替えた工夫や、ファンづくりと事業展開の判断、地域を巻き込むビジネスの社会性、時代の流れに応じた方策転換などを細かく教えて頂きました。
 2時限目は伊藤塾長の講義をふまえて意見交換の時間として設けられました。受講生が講義後の感想を述べられ、また、自身の経営展開に抱えている問題を塾長と相談しながら質疑応答が行われました。受講生からは自社アピールに力を入れること、女性を含む多様な目線を重視すること、地域の資源を有効活用することなど先進事例から得たヒントが述べられました。そして、受講生のこれからの取組みと問題点に対して、塾長は「自分のビジネススケールの明確化や現実との比較」「受講生のネットワークの活用」「次世代を巻き込む仕掛けづくり」などの助言と、「受講生の沿線ツアー」や「自慢の一品の盛り合わせ」などの興味深いビジネス案を提示して下さいました。


12月19日に第8回講義 第1回マルシェを実施しました。

 令和3年12月19日(日)に第8回目となる講義として、JRフルーツパーク仙台あらはまにて第1回マルシェが実施されました。
厳冬の中、当日は8時過ぎから開店準備が始まり、朝礼を終えて10時にお客様を迎え始めました。河北新報での宣伝効果もあり、当日の来場者数は250~300人程度でした。
開店同時にスタートした芋煮のお振舞いは一番多くお客様を引き寄せて、限定100食の配布はあっという間に終了しました。その他、受講生からは各種の野菜、おにぎりやスイートポテトなどの加工品、外部参加者からはハンドメイド品やコーヒーキッチンカーの出店がお客様を集めていました。また、就農体験相談ブースも7人程度の相談を受付けました。
しかし、午後は天候が悪くなり、きりゆきの中で客足も遠のいていきました。この状況から、出店者の協議後、30分前倒しに閉店準備を始めました。会計リーダーの佐々木さんによる売り上げの精算を終えて、集合写真の後、総括リーダーの千葉さんが終礼で一回目のマルシェを締めました。
売り上げの精算によると、出店者によってバラツキはあるものの、売上高は一般のマルシェ参加時の平均以下でした。本マルシェの趣旨は「キッカケづくり」であること、一回目の挑戦であることから納得のいく結果でありましたが、今回の経験と反省を踏まえて、次回のマルシェはより高い目標の達成に向けていくでしょう。



12月21日に第9回講義を実施しました。

 令和4年12月21日(火)に第9回目となる講義を実施しました。
 今回の講義は、「12月19日に行われた第1回マルシェの振り返りが行われました。マルシェ開催・改善点の抽出および改善施策の立案に関して「事前準備」「当日運営」の2要点に分けて検討が行われました。そして、第2・3回開催に向けての要項確認も行われました。



2月1日に第11回講義を実施しまたした。

 令和4年2月1日(火)に第11回目となる講義を実施しました。
 今回の講義は、「リーダー養成講座」の7回目として、第3回マルシェ開催に向けての検討協議が行われました。1月27日のWebミーティングの続きとして、「日程の変更」「企画内容の変更-お振舞の代替案」「告知関連の確認」についての検討が行われました。また、トンガ大噴火の影響で中止となった第2回マルシェについて、伊藤塾長から「中止となったお振舞いの対策」「トンガ大噴火の支援策」などの宿題が課されました。引き続きSlackで受講生同士に議論して頂きながら、そろそろマルシェの最終回を迎える頃です。


2月26日に第12回講義 第3回マルシェを実施しました。

 令和4年2月26日(土)に第12回目となる講義として、JRフルーツパーク仙台あらはまにて最終回である第3回マルシェが実施されました。
当日は8時半から開店準備が始まり、朝礼を終えて10時にお客様を迎え始めました。
本マルシェの趣旨である「きっかけづくり」を目標に、今回は「スタンプラリーでお土産をゲット」というイベントが企画されました。レシピ付きスタンプカードをお客様に配り、各出店者との交流を条件にスタンプを集めて景品をゲットするとの企画で参加者と出店者の交流を図りました。また、受講生による社会的活動として、トンガ大洋州噴火津波救援金用の募金箱も設置されました。その他、受講生及びゼミOB生から各種の野菜、おにぎりや焼き芋などの加工品の出店、外部参加者からコーヒーキッチンカーなどの出店で、会場が盛り上がっていました。
天候に恵まれ、地下鉄駅でのポスター掲載、JR仙台駅のデジタルサイネージでの掲載や河北新報の地元折り込みなど多様な宣伝活動も行われたおかげで、当日の来場者数は450人を超えていました。(前回:250~300人程度)
しかし、時期が端境期であり、出店品数が少なかったため、全体の売上高は前回よりやや下回る結果となりました。(今回の全体売上高:160,154円、前回:164,131円)
本マルシェは今回で最終回となりましたが、マルシェの企画・参加経験を生かして受講生有志による今後の活動が期待されます。



令和3年度せんだい次世代農業経営者育成ゼミ修了式を実施しました。

 令和4年3月2日(水)に本年度の最終講義として第3回マルシェ振り返り講義と修了式が開催されました。
まず、「リーダー養成・マルシェ特別講座」の最終講義として、YACコンサルティングの古高代表取締役による進行のもとで、第3回マルシェ及び全体の実施状況の振り返りが行われました。トンガ沖大規模噴火による津波注意報発令のため、中止となった第2回マルシェを除いて、マルシェが無事に実施されたこと、1回目の経験・反省点を3回目の運営に生かして、来場者数の増加などの成果が見られたことが確認されました。そして、受講生からは、3回の事前準備と当日の運営を通して、マルシェでの気づき・今後に活かせる点、リーダーシップに関する気づきが述べられました。最後は、古高講師からリーダー講座の総括が行われた。
マルシェ振り返り講義の後、修了式を開会した。
まず、主催者である仙台市経済局農林部農業振興課の鈴木中課長から祝修了の挨拶を頂いた。その後、基調講演は株式会社ファームサポーターズ・ラボの岡部代表取締役を講師に迎えて、「変化の時代~「繋がり」と「学び」が財産になる~」を題とした講演を行って頂いた。岡部講師はご自身が関わってきた若手農業者の事例を紹介しつつ、受講生に「ビジョン」「コミュニケーション」「情報収集力」の重要性を教えて頂いた。
その後、受講生から卒業の挨拶が行われ、本ゼミの生み親である登米市渡邉副市長をはじめとする関係機関からの励ましのお言葉を頂いた。
そして、伊藤塾長から受講生に対して修了証を授与し、兼ねて塾長挨拶が行われた。集合写真の後で、5年目となる本ゼミ最終年度の修了式が終えた。


3月8日に現地視察代替講演を実施しました。

 令和4年3月8日(火)に本ゼミの特別講座として、コロナ禍で実施できなかった現地視察の代替講演が行われました。
合同会社木漏れ日農園鎌田大地代表を講師に迎えて、ご自身のライフスタイルでもある農園の経営について講義して頂きました。まず、木漏れ日農園の農業・林業・畜産の複合経営体制を紹介して頂きました。そして、ご自身が農家(百姓)に目覚めた経緯として、子供時代の経験から学生時代での活動を教えて頂きました。また、自身経営が目指すモデル図と地域課題の解決に繋がる経営理念を参加者に共有して頂きました。最後は受講生に「思考習慣の重要性」「自由な発想で組み合わせを探す」などのメッセージを残して頂き、質疑応答を経て、講義を終えました。