オビルピーハQ&A

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Q.オビルピーハとは何ですか?

A.グミ科の小果樹です。ここで『オビルピーハ』と呼んでるのは、Hippophae rhamnoides の中でも特に ssp. mongolica を指します。近縁の亜種には ssp. sinensis(サジー)、ssp. rhamnoides(英名:seabuckthorn)などがあります。オビルピーハの改良品種は、これらの亜種に比べ棘が少なくなって栽培しやすくなり、果実も大きく多量につきます。


 
オビルピーハの果実
オビルピーハ(着果時)

Q.なぜ「多機能性」と言われるのか?

A.オビルピーハの果実中には様々な栄養素が含まれているからです。ビタミン類やオイルが豊富で、中でもビタミンA, C, Eが非常に多いことが特徴です。ビタミンC, Eは他の果実の中でも群を抜いて豊富に含まれています。さらに、オビルピーハ(ssp. mongolica)は類縁の亜種である ssp. sinensis などに比べて不飽和脂肪酸の濃度が高いと言われています。 
・・・参考までに具体的な値を
ビタミンA: 3.8 〜 50 mg/ 100g果実
ビタミンC: 80 〜 1000 mg/ 100g果実
ビタミンE: 200 mg/ 100gオイル     ※品種によって成分にばらつきがあります


Q.普段あまり名前を聞いたことがないのですが・・・

A.シベリア地方特産の果実で、近年まで日本では栽培されていなかったためです。ユーラシア大陸(ヨーロッパ〜ロシア〜中国)にたくさんの原種が自生しています。そこから選抜・品種改良したのがオビルピーハの栽培品種群です。


Q.それなら日本での栽培が大変なのでは?

A.オビルピーハは寒さに強いので、東北地方の栽培に適していると思われます(暑さにも強いという報告もある)。また、乾燥・塩ストレスに強いこと、根粒菌が着生していることなどから、痩せ地・ある程度厳しい環境下での栽培も可能ではないかと考えられます。


Q.普通の果物みたいに生のままで食べるの?

A.グミ科果実なので、完熟した果実をそのまま食することもできます(皮は剥かず、タネを出す)。しかし、酸味が強く、糖度も低めなため、生食よりはむしろ搾ってジュースにしたり、ジャムにしたりと加工したものを食べるのが一般的です。
 ちなみに、ssp. mongolica は他の亜種に比べて食味が良いと言われています。
(個人的には糖度upなどの改善の余地が多々あると思われる。今後の品種改良・育種に期待)


Q.それでは用途はあまり広くないのですか?

A.いえ、そんなことはありません。オビルピーハのもう一つの特徴として、保健薬や医薬品としても利用できることがあげられます。現にシベリアを含めたロシア各地において、オビルピーハはハンドクリ―ムや化粧品をはじめとして、体内の粘膜に作用するさまざまな医薬品にも加工・利用されています(テレビではドイツ製の火傷の薬なども紹介されてたような)。
 また、ビタミンEの不足しがちな人々に新しい多機能性食品「天然の健康食品」として提供できます。このように、オビルピーハは体の中から外から私たちの生活に役立つ果実なのです。


(文責:千葉)

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