トマト

[維管束走向   lfiトマト(葉化花房トマト)   糖組成制御]

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2002年度


トマトの形態形成の関する分子遺伝学的研究

 植物の成長は外的環境要因によって大きく影響を受けるが,種に本来備わっている固有の器官サイズは,内生成長要因によって決められている.その一つとして,アラビドプシスでAINTEGUMENTAANT)と呼ばれる器官増大に関わる遺伝子が単離されている.
 ANTは園芸植物に有用な遺伝子である可能性があるので,そのホモログをトマトで単離し,形質転換体を作出して,トマトの形態形成,特に器官サイズの増大にどのように関わるのかを調べる.(文責:鎌田)


2001年度


トマト突然変異体lfiを用いた花芽・果実形成機構に関する研究

 突然変異体を用いた形態形成機構の解明については、近年、アラビドプシスをはじめとするモデル植物において飛躍的な進歩が見られるが、園芸学的、農業生産的に重要な植物においては十分な知見が得られているとは言い難い。
 本研究で用いるトマト突然変異体Leafy inflorescence(lfi)は花序分化後の形態形成に変異が見られ、花序に花芽を全く形成せず、かつ特殊に分化した葉(擬葉)が多肉化し果実様の組織を形成するという、花芽形成から果実形成において特異な性質を示す。
 本研究ではこのlfiの性質を利用し、またモデル植物において得られている成果や手法を応用することにより、花芽形成から果実形成における、既知な遺伝子の相互関係の解明、未知な遺伝子の単離を目的とする。(文責:荒木)


2000年度


果実特異的発現遺伝子の単離

 トマトの果実は,花粉が受精することで子房の肥大が始まり,果実が発達します.そして果実が赤くなることでトマトは美味しく食べられるようになります.この間の果実の各生育段階では多くの遺伝子が関わっていると考えられます.
 果実の品質において,果実のみで,かつ成長の初期中期で発現する遺伝子は,果実に非常に大きな影響を与えると考えられます.
 そこでトマトを用いてこのような遺伝子を単離し,機能を探ります.(文責:太田)


1999年度


lfiトマト

 トマト花芽形成突然変異体lfiは、花序に全く花をつけず無限に成長するとともに、葉状の器官を連続的に形成する。この葉状の器官は成長すると、多肉化する擬葉と多肉化しない花序葉のどちらかになり、最終的に大きな葉房を形成するに至る。このlfiは、花の各器官決定遺伝子だけでなく花芽決定遺伝子や花器官決定遺伝子も機能していないと考えられるので、花芽形成のどの段階がブロックされているのかを調べる。(文責:小又)

維管束走向

 昨年度までの研究により,現在ではトマトの主茎・仮軸・花房の維管束走向とその光合成産物転流経路・糖代謝が明らかになっている.今年度からこれに加えて果柄・果実内の維管束走向を調べ,またその維管束走向に沿って部位別に糖分析を行い,放射性同位元素を使ったトレーサー実験によって糖代謝を明らかにすることを目的とした実験を行う.(文責:豊川)


1998年度


lfiトマトを用いた,果実形成に関わる遺伝子の解析.

 トマトの花芽形成突然変異体lfi(葉化花房トマト)は,ガンマー線照射試験において発見された.このlfiは,萼片形成期以後の形態形成が完全にブロックされており,花房に花を付けないが,この果実様態は,外観,香り,味,おそらく成分的にも通常の果実ときわめて似ているため,単為結果あるいは様々な果実特異的な遺伝子の発現機構の解析に有用である. 受粉やホルモン処理なしで解析できることを利用し,それらの影響を排除して,純粋に心皮の肥大や各種成分の合成系に関する解析を行う.(文責:出口)

トマト花芽形成突然変異体lfiの解析

 lfiトマト(葉化花房トマト)では、花器官形成を行わずに次々と新しい成長点を形成する。これらの成長点はがく片と葉の中間的性質を持つ器官などを連続的に形成し、葉房を形成する。この突然変異体ではどの花芽決定遺伝子が欠損しているのかを調べる。(文責:高野)

糖組成制御

 「メタボリックエンジニアリングを応用してトマト果実の甘さを増進させることを目的とする」と言うとあまり意味が分からないのですが、一言でいうと、甘い組み換えトマトを作ろうとしています。 スクロースとして転流してきたは,トマト果実内でフルクトースグルコースとして蓄積されますが、 フルクトキナーゼアンチセンス遺伝子を導入することで,フルクトースの代謝を抑制し,その蓄積を図っています。
 無菌状態でカルスから育てたトマトはもう自分の子供みたいですね。最初はとても手がかかりました。そいつらが無菌状態を出たときと、花が咲いたときはなんか自分の親の気持ちが分かったような気がしましたね。あとは実が甘くなってることを祈るだけです。 (文責:小田中)


1997年度


維管束走向

 トマトの葉序については,色々な説があります.これは,常にいくらか茎がねじれたり開度にずれが生じたりして変異が大きいため観察者によっていろいろな見方がなされるからです.そこで,この問題を解明するために,本研究室では内面からの調査として主茎・花房・仮軸などの維管束走向を観察しています.同時に確認として光合成産物転流・分配パターンをラジオアイソトープを用いて調べています.(文責:清野)

 右の図はトマトの維管束の走向の模式図です.図をクリックすると拡大した図が示されます.戻る場合はブラウザの戻るをクリックして下さい.

トマトの維管束の模式図
 
葉化花房トマト

1.花芽分化および果実様体の形成
 この突然変異体のトマトは,普通のトマトと異なり,花芽形成過程のがく片形成後半以降の過程が阻害され花器を形成せず,常にがく片形成初期までが繰り返され,葉化花房が形成されます.更に葉房内の一部の葉が肥大して果実様体を形成することもある不思議なトマトです.現在このトマトについて,様々な角度から調査を行っています.(文責:高梨)

果実様態
上の写真は果実様態です

2.葉化花房トマトの維持と変異の検定
 花芽形成および単為結果の機構解明に,葉化花房トマトを用いるための予備実験として,野生型(LL)およびヘテロ(Ll)の個体を得る(種子を保存する)とともにヘテロ自殖での分離を確認する.
 圃場作業が中心の実験デス.3月に始めた挿し木苗,4月に播いた実生苗→6月の袋掛け,原始的受粉(袋の上からトマトを”ペンペン”と指ではたく)を経て→8月に入り赤い実を着け始めました.ウレシー(^^).
 しかし,ほぼ毎日の種取り作業のため,私の机はトマトの香り(!?)がしている気がします.(文責:元橋)

 
糖組成制御

 メタボリックエンジニアリングを応用してトマト果実の甘さを増進させることを目的とする.スクロースとして転流してきた糖は,トマト果実内でフルクトースとグルコースとして蓄積される.フルクトキナーゼアンチセンス遺伝子を導入することで,フルクトースの代謝を抑制し,その蓄積を図る.
…白衣を着たことはありませんが,実験室中心デス.学生実験(3年次)をいい加減にやっていたことを日々反省するこの頃.基本的な機器の扱い方・測り方等々が欠如している上,モル比の計算ができない私….(先生,いつも迷惑かけて,ごめんなさい)
 でも,できなかったことができるようになったり,わからなかったことがわかるようになったりと,それだけで結構うれしかったりして,それなりに実験をがんばって(?楽しんで)ます.(文責:元橋)

 右の図はトマトの果実におけるスクロース代謝の模式図です.図をクリックすると拡大した図が示されます.戻る場合はブラウザの戻るをクリックして下さい.

スクロースの代謝経路の模式図

研究紹介

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