免疫臓器の形態形成

免疫臓器が“かたち”作られる仕組み理解する ~ブタをモデルとした医農連携研究~

 ヒトや動物の体内で、免疫機能が形成されるプロセスを理解する上で、胎生期は非常に重要な時期です。なぜならば、リンパ節などの免疫臓器は、子がこの世に誕生する前から既に“かたち”作りが開始されているからです。胎児(子)の体内で免疫臓器が作られる際には、免疫臓器が作られる場所に、免疫細胞が少しずつ呼び寄せられることで、“かたち”が作られていきます。胎児(子)が作り出す免疫細胞は、免疫臓器の一員として参加すべく、目的地(免疫臓器)に向かって体内を循環しているわけです。免疫細胞の体内循環は巧妙であり、免疫臓器からは細胞を呼び寄せるための物質が分泌され、それを受容できる細胞のみがその物質に向かって移動していきます。つまり、ヒトや動物の免疫機能が形成されるプロセスにおいて、免疫臓器が “かたち”作られるためのファーストステージ(胎生期)と、胎生期に形成された免疫臓器が機能成熟するためのセカンドステージ(出生後)は、連続的に生じる必要があるのです。

 我々は、免疫臓器の“かたち”作りとその後の機能成熟プロセスを、ブタを用いて詳細に解析しております。また、得られた研究成果を、ブタをモデル動物とした医農連携研究へと発展させております。上述した通り、ヒトもブタも、胎生期に始まる免疫臓器の“かたち”作りは、出生後の免疫機能成熟に欠かせません。我々の目指すところは、免疫臓器を正常に発達することのできない原発性免疫不全症候群と呼ばれる難治性疾患を治療するための新たな方法を、ブタモデルを用いて確立することです。出生後に行われる現行治療を、免疫臓器の“かたち”作りが開始される胎生期に実施することでその有効性を大幅に向上させたい、それが私達の考える、農学研究者が医学への貢献を目指して提案する医農連携研究です。

<< 前のページに戻る

    〒980-8572 
    宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉468-1 
    (農学系総合研究棟本棟W405,W407,E413)
    TEL : 022-757-4312 FAX : 022-757-4315