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6月22日に福島県葛尾村にて被災地エクステンションを実施しました。
- 2019年7月5日
「6月22日に福島県葛尾村にて被災地エクステンションを実施しました。」
2019年6月22日(土)に、福島県双葉郡葛尾(かつらお)村にて被災地エクステンションを実施し、49名が参加しました。
バス内往路では、自己紹介や講義受講のきっかけ、震災当時の出来事など各々に紹介いただいた後、グループで「葛尾村の復興状況と課題」を共有し、震災時から現在の葛尾村について、葛尾村役場職員への質問をまとめました。
葛尾村に到着し、村民会館にて葛尾村の被災と復興への歩みについて松本復興推進室長より講話をいただきました。そのあとの質疑応答では、「Q:一番力をいれた施策は何かA:帰村率・居住率を上げること。移住者を増やすことも目標のひとつ。2018年に村内で学校が再開してから日中聞こえる子供の声が励みになる、頑張らないといけないという気持ちになる」「Q:風評被害はあるかA:米に関しては全袋検査をしているが、基準値を超える放射性セシウムは検出されていないので、村に関する風評被害はないはず。しかし、受け手の心情は難しい問題である」等、活発な意見が交わされました。
参考までに、葛尾村は、2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原発事故の影響で5年間の全村避難を余儀なくされました。2016年に避難指示が解除されて以降、村では帰村に向けた生活環境整備が進められ、2019年1月の村内居住者は343人、同年6月には405人と徐々に帰村が進んでいます。
午後は震災後の畜産農家を追ったドキュメンタリーDVDを鑑賞し、その後、牧場(佐久間牧場)と元繁殖牛農家の2グループに分かれ見学を行いました。


元繁殖牛農家松本さんからは、以前火力発電所に勤務していた経験を活かし、現在鉄工所を経営していること、農地保全の一環としてクリムゾンクローバーを栽培していること、双葉郡内最年少の畜産農家のことなど幅広くお話しいただきました。
震災前は繁殖牛農家だった松本さんは、原発から20キロ圏内で飼育していたため、国の決定ですべての牛を殺処分せざるを得ませんでした。生活を支えてくれた牛たちが息絶えていくのを見て、営農は再開しないと決めたそうです。現在は農機具を自作し、農家の方への提供を行っています。例えば、依頼を受けて製作したフレコンバッグ(除染した土や草木を入れる大きな袋)の組み立て式スタンドは、軽くて使いやすいと好評だそうです。
マメ科のクリムゾンクローバーは、緑肥として村の農業再生協議会から種子代の補助を受けて栽培しています。5月にイチゴのような赤い花を咲かせ、景観植物としての強みもあります。今年は新聞に掲載されたこともあり約1,000人の方が訪れたそうです。最後に松本さんからは、「これだけの放射能検査を受けてきたのだから、福島、葛尾の野菜や肉がどこよりも安全」という力強い言葉をいただきました。

今回ご協力いただきました葛尾村の皆様、ありがとうございました。